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『仁義なき宅配』を読んだ [読書]

・横田増生著

・2015年頃までの宅配便業界を、主にヤマト運輸、佐川急便、日本郵便について書いている。それぞれの成り立ち、現在の立場と問題点などを多くの資料と潜入取材によってあぶり出す。

・タイトルに惹かれた。名付けが秀逸。

・筆者は佐川急便の長距離トラックに乗ったりヤマト運輸のクロノゲートでアルバイトしたり、かなり体を張っていて感心する。取材拒否されて、それならばとクロノゲートでアルバイトする横田氏。それがヤマト運輸広報に知られると『まぁ、さまざまなルートで取材しています』と涼しく答える件が痛快。
・つい先日も、改姓までしてユニクロにアルバイトとして長期潜入取材している。これもまた本になるのかな。

週刊文春のユニクロ潜入取材レポが「ガチ」と話題に ユニクロから訴えられたジャーナリストが改名してバイトしてみた(ねとらぼ)
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1611/30/news142.html

ユニクロに1年潜入取材してみた!(週刊文春web)
http://shukan.bunshun.jp/articles/-/6837

・そういえば佐川急便事件(1992年)とか、クロネコヤマトクール宅急便常温仕分け事件(2013年)とか、日本郵便とペリカン便統合に伴う遅配・大混乱事件(2010年)とかあったなぁ。宅配業界の事件は大抵記述されている。
・最近も佐川急便駐車違反身代わり出頭事件があった。

・yogiさんはヨドバシ・ドット・コムのエクストリームサービス、アマゾン・ドット・コムの当日お急ぎ便などの行き過ぎた配送サービスに対して少し引いてしまっている。ここまでしてくれなくていいのに、と。当日どうしても必要であれば買いに行きますから、と。

仁義なき、熱いアマゾンの押し付け合い。すべての業者がそっぽを向いたら、アマゾンはどうするんだろう。プライムサービスをやめるのか、自社網を作るのか。なんとなく自社配送網を作る気がする。どこかを吸収して。

・今日の送料無料、当日・翌日配送、2時間毎の時間指定などという恐ろしく便利なサービスは、配送業者の超・超過労働とサービス残業、安価な外国人アルバイトによって成り立っている。恐らく労基が是正命令を出した瞬間に終了するような、砂上の楼閣のようなものだ。yogiさんは現在の過剰サービスは早晩終焉を迎えると思っている。

・非常に興味深い、面白い本だった。


仁義なき宅配: ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン

仁義なき宅配: ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン




『最後の逃亡者』を読んだ [読書]

・熊谷独著。第11回サントリーミステリー大賞受賞作。
・日本からソ連に出向していた岡部は、取引を重ねるうちにソ連軍の最新潜水艦の技術顧問を引き受けるが、それは同時にソ連軍の中枢情報を知ることでもあった。軍から命を狙われることになった岡部、ソ連から亡命したかった売春婦のエレーナ、その娘アンナを連れた逃亡が始まった。。。
・崩壊直前の旧ソ連の日常がこれでもかこれでもかと描写されている。とてもおもしろい。

・長い間『読みたい本』リストに入れていて、晴れて読んだのだけれど、そもそもどうしてこの作品を知ったのかが謎。確か、潜水艦モノを読みたくていろいろ調べてたどり着いた、ような気がする。

・売春婦がフローラを"ハナコ"、ビクトリアを"カツコ"と日本人向けの源氏名をつけている、という部分はなるほど、と感心した。
旧ソ連の暗殺方法といえば、放射性物質の注入。A処理。ひえぇ。



・結末には賛否あるようですが、yogiさんはこういうのも、いいかな、と思いました。救いがない感じ。


最後の逃亡者 (文春文庫)

最後の逃亡者 (文春文庫)




『もたない男』を読んだ [読書]

・中崎タツヤ著。

・『じみへん』『身から出た鯖』などでおなじみ中崎タツヤ氏のエッセイ。無駄をできるだけ排除し、いらないと自分で感じたものはすぐに捨てたくなるという自分の性癖のお話。
・『ボールペンのインクが減ったら軸を削る』『自分の描いた原稿を捨てる』『要らないだろうと思ってバイクのフェンダーを外したら雨の日に地獄を見たけど、これはこれと思うことにした』など、ただの断捨離とは格の違うお話が続く。

・ビッグコミックスピリッツに連載されていた『じみへん』が好きで氏の作品は10冊くらい持っているyogiさん。捨てることができず、実家で眠っている。

『本を読む時は読み終わったページを切り取ってゆく』というエピソードには共感。そこまではやらないけど、yogiさんは読み終わったら自炊して捨てちゃう。
・中崎タツヤ氏、ずっとこの人だとおもっていたんだけど、



自画像はこっちの人だった。ちょっと衝撃。




もたない男 (新潮文庫)

もたない男 (新潮文庫)




もたない男

もたない男

  • 作者: 中崎 タツヤ
  • 出版社/メーカー: 飛鳥新社
  • 発売日: 2010/11/26
  • メディア: 単行本



『隠密味見方同心(六) 鵺の闇鍋』を読んだ [読書]

・風野真知雄著。
『美味の傍には悪がいる』でおなじみ、大江戸グルメ同心シリーズ、急展開の第六弾!!

『紅黒豆腐』
・亡くなった波之進の未亡人お静の実家、大粒屋の主人が結婚式に出席した。そこで出された豆腐は赤と黒に染められていた。慶事は紅白、弔事は黒白のはず。不審に思った主人は魚之進に真相調査を依頼する。。。
・にゃんこの麻次の取り調べが冴える!!
謎の西洋食器登場

『鵺の闇鍋』
医学塾の寮で催された闇鍋大会で塾生の一人が殺された。鍋を囲んでいた他の生徒に嫌疑がかかる。闇鍋の中には『鵺(ぬえ)の肉』とされる謎の肉が入っていた。残っていた闇鍋の鵺肉を魚之進は恐る恐る口に運ぶ。。。
・現場に残された食べ物も食べてしまう。すっかり『喰いタン』らしくなってきた。
・謎の西洋食器は"フォーク"というらしい。

『天狗卵』
・鶏卵よりも大きな謎の卵で作られる料理。店主は『神社の森で取れた天狗の卵だ』とうそぶく。時を同じくして神社の近くで少女二人が失踪し。。。
・魚之進、走るのが速い!!足の速さは波之進以上だったという。

『おかまうどん』
・葭町でうどん屋を営むおかまが殺された。おかまが作る釜揚げうどんが人気を博していた。丸川同心が犯人と目星をつけた女性が無実だと思った魚之進は独自に調査を進め。。。
葭町(今の人形町1~3丁目あたり)は陰間茶屋(今で言うゲイバー)が多くあったところだそうで。へぇ。

・相変わらずの面白さ。
・久しぶりに味見師の文吉さんが出てきて嬉しかった。ちょっぴりだけど。
・6巻だけど、作中時間ではまだ半年も経っていない。その割に魚之進の成長著しい。同心の素質があった、ということか。
・『木のフォーク』、『波之進の死の真相を隠そうとする丸川同心』など、そろそろ波之進事件も解決に向かうかな。。。
・第7巻に期待です。


隠密 味見方同心(六) 鵺の闇鍋 (講談社文庫)

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隠密 味見方同心(六) 鵺の闇鍋 (講談社文庫)

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  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/07/15
  • メディア: Kindle版



『ザ・ロード』を読んだ [読書]

・コーマック・マッカーシー著。黒原敏行訳。ピューリッツァー賞受賞作。

・崩壊し、破滅した世界。空を覆う灰と雲で太陽はほとんど見えない。寒冷化してゆく世界で父と子は南を、海を目指す。。。
・施川ユウキの『バーナード嬢曰く、』で神林さんがしつこくオススメしていたので、読んでみました。最近のSF小説は『バーナード嬢曰く、』きっかけで読むことが多い。





・淡々と、丁寧に、抑制した筆致で父子の行動が描かれている。まるで観察日記のよう。
・或いは長大な詩のようでもある。
・法も秩序も崩壊した世界で『善き者』であろうとする父。しかしこの極限世界で生きるためには非情にならなければならない時がある。それに疑問を持つ子。果たして彼らは『善き者』であり続けることができるのか。


ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)

ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)




映画化もされている。こっちも観てみたい。


ザ・ロード スペシャル・プライス [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • メディア: Blu-ray



『ユニバーサル野球協会』を読んだ [読書]

ロバート・クーヴァー著、越川芳明訳

・架空の野球リーグ『ユニバーサル野球協会』を作り、3つのサイコロと細かいパターンで精密な野球ゲームを楽しんでいたヘンリー。ある日チームのエースピッチャー、デイモン・ラザフォードが完全試合を達成した。ゲームの事とはいえ満たされ、有頂天になったヘンリーだったが、次の試合で悲劇が起こり、彼の心は変調を来してゆく。。。

・野球ゲームが現実を侵食してゆくSFチックな話かと思ったら、細か過ぎるルールによって、ゲームを現実のように錯覚し、ゲームの中に迷い込んでしまう男の話だった。
『笑ゥせぇるすまん』みたい。野球ゲームに熱中 → 仕事が疎かに → 仕事も、私生活もきちんとしようと決意 → 友人もできて少し現実が上向きに → 現実の生活で失敗してひきこもり再びサイコロを手にする → どーん → リーグ戦も100年を越えて、今日も一人男はサイコロを振る。。。みたいな感じ。

・最後まで没入できない作品だった。


ユニヴァーサル野球協会 (白水Uブックス)

ユニヴァーサル野球協会 (白水Uブックス)




『合併人事 29歳の憂鬱』を読んだ [読書]

・江上剛著。

・日未子は先日合併したメガバンク、ミズナミ銀行営業部勤務の29歳。沖縄で休日を楽しんだ後お仕事を頑張って、別の銀行の輝いている女性に刺激を受けて、ルームシェアしてるヨガのインストラクターに刺激を受けて、部長と不倫して、仕事の都合で一緒にホテルに泊まってくれないのが寂しくて一気に冷めて、もう何もかもどうでもよくなって上司に秘密にしておくように言われたことを不倫相手に暴露して上司と取引先を窮地に立たせて、行内には自分が不倫していることがバレてしまったけど私は胸を張って歩いて行くわ、とりあえず今日は胸を張って早退しよう。。。

・なんだこれ。

・つまらない。ほんとダメだこれ。

・作者が考える女性が好みそうな要素: 沖縄、ダイビング、ヨガ、高級ホテル、高級レストラン
・作者が考える男性が好みそうな要素: 銀行合併、部内の権力闘争、不倫
・男女ともに興味を持ちそうな要素を入れまくったらよくわからないものになってしまった、という作品。
・ タイトルからてっきり合併前の銀行間の綱引きみたいなお話を想定していたので、予想と違いすぎて失望したというのも、ある。

・ルームシェアしているヨガインストラクターのヒロミちゃんが尋常じゃないくらい優しい。悟っているからだろうか。彼女にはもったいないルームメイトだった。

・女性の29歳。仕事、結婚など、いろいろ岐路に立つお年ごろ、ということなのだろうけど、仕事は適当、そもそも結婚相手恋人もいなくて不倫相手に不満をぶつけて最後は無断早退で終わるという、『なっちゃいけない』見本のようなお話だった。

・あまりおすすめはしませんが、『あ、あれ読んだの?ひどいよねー』という、B級映画を観た後の盛り上がりは楽しめるので、読書グループで回し読みするといいかもしれません。


合併人事―二十九歳の憂鬱 (幻冬舎文庫)

合併人事―二十九歳の憂鬱 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 江上 剛
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2008/08/10
  • メディア: 文庫



『ロスト・ケア』を読んだ [読書]

・葉真中顕著。第16回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。

・40人を超える要介護老人に対する殺人容疑で死刑判決を受けた『彼』。彼はなぜ殺人を犯したのか、そして殺された老人の遺族、検事、介護担当者はその時。。。
・物語は犯人である『彼』が死刑判決を受けるプロローグから始まり、事件の起きてゆくさまを遡って描いてゆく。疲弊する社会、そこに希望は描かれていない

・検事の大友、介護企業の営業部長佐々木、介護の現場で働く斯波、3人共ほぼyogiさんと同年代だ。団塊ジュニア世代。

・中越地震と東日本大震災が出てくる。そう、中越地震の時点で『原発事故は発生する』ことはわかっていたはずなのだ。そして高齢化社会が発生することはわかっていたはずなのだ。確か小学校6年の社会の教科書にも書いてあった気がする。30年前に。

・介護疲れ、犯罪の高齢化、高齢者をターゲットにした犯罪、特養難民。。。高齢化社会の問題がひたするつめ込まれている。
・それでも犯人を登場させる件が葉真中氏らしいなぁ、と思った。ばっちり騙された。うまいなぁ。

・そういえば最近危険ドラッグ濫用のニュース聞かないね。事件やニュースは消費され、忘却されてゆく。

・現代社会の問題を鋭く描く一冊。ミステリーとしても楽しめます。とてもおすすめ。


ロスト・ケア (光文社文庫)

ロスト・ケア (光文社文庫)




ロスト・ケア (光文社文庫)

ロスト・ケア (光文社文庫)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/02/20
  • メディア: Kindle版



『監督・選手が変わってもなぜ強い?~北海道日本ハムファイターズのチーム戦略』 [読書]

・藤井純一著。

・日本ハムファイターズ社長を2012年まで続けた藤井純一氏がファイターズの経営について語ります。
大学の一般教養課程(って今あるんだっけ?)の"スポーツビジネス概論"を読んでるみたいだった。
戦術、用兵的な話は全く出てこない。『あの時はどの選手がこうなってて~』みたいな話も全く、ない。スポーツとしての野球の話はほとんど出てこない。あくまでもビジネスの話だ。経営側の人だから当然といえば当然。
・ファイターズが導入して、チーム運営の柱となっているBOS(Baseball Operation System)の話しもほんのちょびっとだ。yogiさんここらへんをもっと知りたかったんだけど。

・だから本書のタイトルもちょっと偽りありで、『チーム戦略』ではなく『経営戦略』とすべきかと。

・ビジネス書として大変おすすめ。特に営業の人とかは、お仕事をする姿勢を考え直すきっかけになるという意味で、参考になるのでは。

一冊読むお時間がない方は、こちらを読むとよろしいかと。概ね同じことが書いてあります。

タグ:藤井純一氏(ベースボールチャンネル)
http://www.baseballchannel.jp/tag/%E8%97%A4%E4%BA%95%E7%B4%94%E4%B8%80%E6%B0%8F/





監督・選手が変わってもなぜ強い?~北海道日本ハムファイターズのチーム戦略~

監督・選手が変わってもなぜ強い?~北海道日本ハムファイターズのチーム戦略~

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2012/11/20
  • メディア: Kindle版



『教団X』を読んだ [読書]

・中村文則著。
・戦後間もなく生まれた宗教団体。そこにいた二人の男、松尾と佐渡は数奇な運命を辿り、そして現代、二人はそれぞれ別の宗教団体を設立していた。公安は佐渡の教団を"教団X"と呼び危険視していた。そして。。。

長い、長い、570ページ。しかもハードカバー。通勤時に持ち歩くのが大変。
・仏教観、死生観、宇宙観についてはなるほどなぁ、と感じる部分があった。
・作者の書きたかったことに合わせてストーリーが作られている感じ。知ったこと、言いたいことを教祖の言葉として、信者の体験として書いているけれども、参考文献を咀嚼しきれていない感じがする。

・新興宗教団体と現代日本で発生するテロ。こう書くとミステリーとか、アクションモノとか、刑事小説を想起するけど、ストーリーは前述の通りただの容れ物で、9割近くは登場人物の述懐に割かれている純文学路線。なのでストーリーや、辿り着く結末はチープなものだ。

・知人から『おもしろいらしいよ』と言われてなんの予備知識もなく読み始めてしまい、途中で『この本最後までこんな感じなのかな』と思ってレビューを数件見たら、なるほど最後までこんな感じらしいと知ったわけで、まぁもう100ページ位読んじゃったし、最後まで読もうか、となったわけです。

・エンタメ小説向きの設定なのに、そうなってないのです。

エロい。結構エロい。

・不思議と読みやすい。
・yogiさん『子育て侍』氏が好きだ。

・こんな作品をベストセラーにしてしまう(yogiさんの手に取らせてしまう)マーケティングが素晴らしいと思った。『アメトーーク!』で紹介されたそうですね。さすが人気番組は影響力が違いますなぁ。


教団X

教団X




教団X (集英社文芸単行本)

教団X (集英社文芸単行本)

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2014/12/20
  • メディア: Kindle版



『シークレット・レース ツール・ド・フランスの知られざる内幕』を読んだ [読書]

タイラー ハミルトン、ダニエル コイル著、児島修訳。
・かつてUSポスタルチームに所属し、伝説の男、ニール・アームストロングと共にツール・ド・フランスを始めとする自転車ロードレースで一時代を築いたタイラー・ハミルトン。しかし彼らの驚異のスピード、登坂能力はドーピングによるものだった。テストステロン、EPO(エリスロポエチン)、血液ドーピング。。。自転車レース界に蔓延していた(している?)ドーピングについて告白する。

ヘマトクリット値(血液中の血球濃度)を50%に"自然に見えるように"近付け、ロードレーサー向けの体格を作ることが勝利への道。検査に通るのであれば、なんでもする。勝利のために。
・作品後半になると、『もうEPOくらいはみんな打ってるから解禁しちゃってもいいんじゃない?』とか感じ始めている自分がいた。

"僕は薬を飲み、そしてそれは効いた。僕は速くなり、調子も格段によくなった。肉体だけではなく、気持ちも上向きになった。(P92)"

・タイラー・ハミルトン氏の告白を、ダニエル・コイル氏が聞き取り、各方面を再取材し、改めて一人称で書き直す。この手法がピッタリとハマッて、読みやすく、真実味と迫力がある作品に仕上がっている。劣化した血液を注入された時の狼狽の仕方とか。あと、翻訳が大変読みやすくて良かった。どれをとっても秀逸。

・自転車レースに命、名誉、人生、、、自分が持っているものを全て賭け、それでも手が届かない時に、諦めるのではなく、ドーピングを選んだ男達の話だ。勝利のために、必要なことはなんでもやるのだ。

・ランス・アームストロングがかなりの悪漢として描かれているんだけど、実際のところはどうだったんだろう。あと、彼がシェリル・クロウと付き合ってたなんて知らなんだよ。

・タイラー・ハミルトンとランス・アームストロング。ロードレース界の頂点にいた二人を中心にした、自転車レースに翻弄される人間を描いた、青春スポーツ小説のようだ。爽やかさもあり、裏切り、失意、逆転もある。

・現在のロードレース界は『パニアグア(Pan y Agua=パンと水だけ、つまりドーピングをしていないこと)』で、クリーンなんだろうか。ロードレースに限らず、他のさまざまなスポーツも。

・大変におすすめです。





『インドクリスタル』を読んだ [読書]

・山梨県で高性能振動体となる人工水晶製造している藤岡は、人工水晶の核となる種水晶の買い付けにインドに向かった。そこで出会った高品質な水晶を獲得すべく現地人と交渉してゆく。そこで出会ったロサというアウトカーストの少女に聡明さを感じた藤岡はなんとか彼女を救い出したいと考える。。。
・先端技術に使用される水晶を巡ってインドの小さな部族の村で繰り広げられる物語。モチーフが『工業用水晶』っていうだけでもう面白そう
・篠田節子の小説は(まだ2作しか読んでないけど)、結構ダイナミックに時間が経過する。半年とか、2年とか。
・インドって、ここまで暗黒大陸なのか。まぁインドに限らず海外でビジネスを進めようとするのは大変だなぁ。yogiさんも気を付けよう。

・『普通の日本人の感覚を持ったインド人』が出てこない。いい人そうな人も平気で怠け、裏切り、脅迫する。

・最終章がかなり駆け足な感じ。これは以前読んだ『ブラックボックス』もそんな感じだったので、おそらく作風なのでしょう。

・インド少女ロサ、彼女は本作のみで退場なのかなぁ。悪魔的な魅力を持つ天才少女。彼女が成り上がっていく中編とか、読んでみたいなぁ。


インドクリスタル

インドクリスタル




『トリツカレ男』を読んだ [読書]

・いしいしんじ著。
・興味が湧いたら一直線、それしか頭になくなってしまう『トリツカレ男』のジュゼッペ。彼が興味を持ったのは三段跳び、サングラス、オペラ、昆虫採集、、、そして一人のかわいい少女、ペチカ。ある日動物園で風船を売っているペチカを一目見てトリツカレてしまったジュゼッペはあらゆる手段で彼女を幸せにしようとするのだが、ペチカにはどうしても取れない暗い影があった。。。
いしいしんじと言えば、先日蓮實重彦が三島由紀夫賞を受賞した際の記念会見で名前をあげられてとばっちりを受けた感のある人。

蓮實重彦さん、報道陣に「馬鹿な質問はやめていただけますか」 三島由紀夫賞を受賞(ハフィントン・ポスト)
http://www.huffingtonpost.jp/2016/05/16/hasumi-mishima_n_9998942.html
まったく喜んではおりません。はた迷惑な話だと思っております。80歳の人間にこのような賞を与えるという機会が起こってしまったことは、日本の文化にとって非常に嘆かわしいことだと思っております。

もっともっと若い方。私は、順当であれば、いしいしんじさんがお取りになられるべきだと思っておりましたが、今回の作品が必ずしも、それにふさわしいものではないということで。選考委員の方が、いわば「蓮實を選ぶ」という暴挙に出られたわけであり、その暴挙そのものは、非常に迷惑な話だと思っています。

フォントサイズも行間も大きい、全160ページ。すぐ読み終わる。ハヤカワの翻訳モノだったら多分80ページくらいだ。
・過去のトリツカレ趣味がペチカを救うのにいろいろ役立つのが楽しかった。
・クレイとか、パペットアニメーションにすると楽しそうなお話でした。
・特にすることのない休日とか、だらっとしたい時に、オススメの一冊。


トリツカレ男 (新潮文庫)

トリツカレ男 (新潮文庫)




『京都』を読んだ [読書]

・黒川創著。
京都かロシアを絶対絡めてくる作家、黒川創の、その名も『京都』。京都市内の地域がタイトルになっている4編。
『深草稲荷御前町』『吉田泉殿町の蓮池』『吉祥院、久世橋付近』『旧柳原町ドンツキ前』

・さまざまな境遇の、いわばマイノリティが主人公となっている。在日韓国人、被差別部落出身者、暴力団員などなど。しかし彼らの境遇をことさら悲観して描くわけではなく、『たまたまそんな人たちが真ん中にいただけ』のお話となっている。
・どちらかと言うと各地域についての描写が深く、年に一度程度観光に行っているyogiさんとしては興味深かった。
・起伏のない、主人公とその周辺を精緻に描写し続ける作品だった。
・喫茶店、ペット火葬業者、鉄道会社のクレーム対応担当など、描写される職業も、妙に興味を惹かれる。

・黒川創の京都小説はいろいろあるのですが、『明るい夜』が好きです。海イコーヨ、ウミー。


京都

京都




京都

京都

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/10/31
  • メディア: Kindle版



明るい夜 (文春文庫)

明るい夜 (文春文庫)

  • 作者: 黒川 創
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/10/10
  • メディア: 文庫



『果てなき渇望 - ボディビルに憑かれた人々』を読んだ [読書]

・ボディビルに魅せられてしまった人々のルポルタージュ。男性、女性、そして世界(アメリカ)のコンテストで戦うために禁止薬物に手を出してしまうステロイドビルダー。。。

スポーツクラブに行っている人だったらわかると思うけど、明らかに『一見さんお断り』な雰囲気を醸し出している一角がある。それがバーベルエリア。不必要な筋肉量を身にまとった男女が呻き、血管を浮かび上がらせながらトレーニングをしている。そして時折鏡の前でポーズをとっている。そんな彼らの生態がなんとなく分かる本だ。

・ボディビル大会までのトレーニング、前日、当日の過ごし方が細かく描かれていて、とても興味深い。

・トレーニングというのは、yogiさんみたいな運動音痴なひょろひょろ人間でも、根気さえあれば必ず筋肉が反応してくれるので、ハマってしまうという気持ちはよくわかる。自分の考えた計画を元にトレーニングし、食事し、サプリメントを摂り、予想通り、あるいはそれ以上に筋肉が反応してくれたら、確かに気持ちいいだろうなぁとは思う。でもyogiさんトレーニングはしてるけど、プロテインも飲んでないし、仕事や他の用事が忙しかったら無理して通わないし、健康でさえあれば、そんなに筋肉もいらない。

禁止薬物を使用している人の言葉は、いくら言葉を重ねても言い訳にしか聞こえないし、自らもそれに気づいているように思えた。それでもステロイドを打ち、筋肉を増やしたい。業の深い世界だ。

・この本を読んだ後にたまたまボディビル大会をテレビで放送していたので見てみた。彼ら全員がそれぞれの事情を抱えながら笑顔でポージングしているんだろうなぁ、と感慨深かった。

・ボディビルをやっている人、興味がある人、ボディビルダーという生き方に興味がある人には必読の一冊でした。非常におもしろかった。